相続の放棄はどんなときにするものですか
相続放棄は、相続によってかえって不利益になる場合や、どうしても財産を引き継ぎたくない場合に選択する制度です。
相続放棄をする主なケース
借金(負債)が多い場合
プラスの財産よりもマイナスの財産(借金・未払い債務など)が多いとき、相続すると借金まで引き継いでしまうため放棄します。
相続争いに巻き込まれたくない場合
他の相続人との関係が悪く、遺産分割協議に参加したくない場合に放棄を選ぶこともあります。
相続関係を整理したい場合
先順位の相続人が相続放棄することで、次順位(例えば孫や兄弟姉妹)に権利が移り、意図的に相続人を変えるために利用することもあります。
相続放棄の注意点
期限は3か月以内(相続開始を知った日から)。
一度放棄すると 取り消しできません。
相続放棄をすると、その人は「最初から相続人でなかった」扱いになります。
家庭裁判所に申立てが必要で、単なる口約束や遺産分割協議で「放棄します」と言っても法的効力はありません。
つまり、相続放棄は「借金を背負わないための防御策」として使われるのが一番多いですが、相続人間の調整にも使われます。
相続放棄の手続きについて、家庭裁判所での流れと必要書類を整理してご説明します。
🔹相続放棄の手続きの流れ
相続の開始を知る(死亡の事実を知る)
この日から「3か月以内」に手続きをする必要があります。
家庭裁判所に申立て
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。
家庭裁判所からの照会書に回答
申立後、家庭裁判所から「本当に放棄する意思があるか」を確認する書類(照会書)が送られてきます。
回答を返送すると、特に問題がなければ手続きが進みます。
相続放棄の受理通知
家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届いたら完了です。
🔹提出する書類
相続放棄申述書(家庭裁判所の書式あり)
被相続人の戸籍(除籍、改製原戸籍)一式
出生から死亡までの連続した戸籍を揃える必要があります。
申述人(相続放棄をする人)の戸籍謄本
被相続人の住民票の除票または戸籍附票(最後の住所がわかるもの)
🔹注意点
相続放棄は「一部だけ放棄」はできません。財産も借金も全部放棄です。
放棄すると「はじめから相続人でなかった」とみなされ、次順位の相続人(子ども→孫→兄弟姉妹など)に権利が移ります。
放棄後に財産を処分すると「相続を承認した」と見なされる場合があるため注意が必要です。