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2025年8月21日

相続税対策で生前贈与をする場合の注意点を教えて下さい

三矢 達朗
Tatsurou Mitsuya
岡山県岡山市にある税理士事務所レグルス岡山の代表税理士。
相続税や法人税に関する業務が中心ですが、この仕事を通じてお客様の財産や経営を守る『お金に関するコンサルタント』でありたいと思っています。
税に関するお悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。


相続税対策で生前贈与をする場合の注意点を教えて下さい

相続税対策として生前贈与を活用するのはよく行われますが、いくつか注意点があります。以下は暦年贈与の話です。


贈与税と相続税の関係

・基礎控除110万円(暦年贈与)があり、この範囲なら贈与税はかかりませんが、毎年コツコツ贈与しても「形式だけの名義預金」と判断されると相続財産に戻される可能性があります。

・相続開始前7年(2024年1月1日以降の贈与から『3年』を『7年』に改正)以内の贈与は相続財産に加算される(特例贈与や教育資金贈与信託など一部例外あり)。


贈与の実態が必要

・贈与契約書を作成しておくと安全。あえて110万円の非課税枠を超えて贈与税の申告をすることも一つの選択肢です。贈与税の税率が10%に収まる金額の贈与で、贈与税の申告というのがわりとあります。

・預金の場合、贈与する側の口座から相手の口座に振り込む
ただし、「子供の口座に親が入金し、通帳・印鑑も親が管理」では、名義だけの口座とされ(名義預金)相続財産に戻されやすいです。
→ 子供自身が通帳・カードを管理し、自由に引き出せる状態に。子や孫が未成年・無収入の場合、実質的に親が管理していると「名義預金」とされがち。受贈者が自由に使える状態にしておくことが大切。


贈与税の特例

・住宅取得資金の贈与特例(非課税枠あり・期限付き)。一般の暦年贈与と違い相続財産への持戻しがないこともあり最近よく使われている制度です。節税だけでなく、持っている財産を相続発生よりも前に子供に活用してもらうという意味でも有効です。

・教育資金贈与の一括非課税制度(上限1,500万円まで、一定条件あり)。手続きが煩雑すぎてあまり使われてないという印象です。オススメしていません。

・ここでは詳しく述べませんが居住用不動産を贈与したときの贈与税の配偶者控除を使うのも有効です。

税務署に否認されやすいポイント

・贈与された財産を実際には親が管理 → 一概に言えるものではありませんが名義預金と認定される可能性が高くなります。


財産全体のバランス

・相続税を節税できても、贈与税の税率は相続税より高くなるケースもあります。贈与税は相続税逃れを防止するための税なので相続税よりも税率が高いです。(そうしなければみんな死ぬ前に贈与してしまえば相続税という制度が意味のないものになってしまうので。)

・不動産や株式の贈与は評価額の算定が必要になるので慎重に。(不動産や株式の贈与は相続税評価額で金額計算されるので必ず事前に税理士に相談することをオススメします。)


まとめ

・形式ではなく実態のある贈与にする

・贈与税・相続税のルールや特例を理解して計画的に

・契約書・振込記録など証拠を残す

・税理士に相談して全体の財産状況に合った設計をする

 

以上、一般論としてよく言われている注意点をまとめましたが、『生前贈与』は税務の中でも特に判断が非常に難しいものです。税務全般に言えることですが第3者から見てわかりにくい取引は、資料や記録を残して説明できるようにしておくことが重要です。

贈与税に関してご不明な点があれば税理士事務所レグルス岡山にご相談ください。



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