相続税の計算で控除される債務にはどんなものがあるでしょうか
-相続税の計算において、被相続人(亡くなった方)の債務は相続財産から差し引くことができます。これにより課税対象となる遺産の額が減るため、相続税の負担が軽減されます。控除できる債務には以下のようなものがあります。
相続税の計算で控除できる主な債務
借入金:銀行、消費者金融、個人からの借入金(借用書などで証明できるもの)
未払金:公共料金(電気・ガス・水道)や電話料金などの未払い分
----クレジットカードの未払い残高、自動車ローンの残りなど
----医療費など(入院費、治療費、施設入居費など)の未払い分
----未払の税金等 所得税(被相続人が亡くなった年の未申告分。)
※亡くなってから4ヶ月以内に準確定申告という手続きをして相続人が納めることになった所得税です。
-----------固定資産税、住民税などの未納分
(固定資産税を分割払いにしていた場合の亡くなった以降の納付期限到来分)
預り金:不動産賃貸をしている場合の入居者からの預り敷金(退去時に返還するもの)
※故人が残した債務ですから、名義が故人になっていたとしても亡くなった日より後に発生した費用(水道光熱費や通信費)は控除の対象になりません。
葬式費用(一定範囲内)
-葬儀社への支払い(通夜・葬儀の会場費や料理費用などです。初七日法要の費用は控除の対象になりません。お通夜とご葬儀当日のものだけです。)
(香典返しも対象外です。受け取った香典も課税はありません。)
-お布施、戒名料(宗教者への謝礼 最近は領収書を交付するお寺が増えましたが領収書がなくても控除は可能、メモを残しておいてください。)
※当然と言えば当然ですが仏教以外の宗教でも考え方は同じです。
-霊柩車や火葬場代(火葬・埋葬・納骨費用など)
お墓代(墓地・墓石の購入)は控除の対象になりません。
ところで葬式費用などに充てるために亡くなった日の当日に相続人の誰かが故人の通帳から現金を引き出すことがあると思います。この場合、引き出した現金は故人が残した現金として相続税の申告に加えなければならないということに注意してください。通帳に記録が残るので税理士が見ればわかることですけど。
相続税の申告は税理士に頼まなくても自分で出来ますか、という質問が時々あります。不可能ではありませんが税理士に依頼されることをお奨めします。結果として相続税がかからないことがわかっているならご自分で税務署に行って書き方を教えてもらいながら申告書を作るのもいいかもしれませんがリスクが大きいと思います。財産の分け方で納める税金は変わってくるケースが多いですから。
国税庁「相続財産から控除できる債務」ページはこちら
国税庁「相続財産から控除できる葬式費用」ページはこちら
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